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No Promises Await at Journey's End

120年前の対決!80日間世界一周の旅!

NHKの歴史秘話ヒストリアを毎回楽しみに見ています。土曜日のブラタモリと並び受信料倍になっても喜んで支払います、と言える番組です。

この番組に登場する井上あさひアナのファンなのですが、以前は21時からのニュースに出ておりました。何かやらかしたのか、京都に異動になりましたがこの番組で全国放送に復帰です。

さて、11月に入り2回放送がありましたが非常に面白かったので記事にしました。

www.nhk.or.jp

  • 挑戦!80日間世界一周(2016/11/04 放送)
  • 決着!80日間世界一周(2016/11/11 放送)

2週間に渡り放送です。概要は「ジュール・ヴェルヌの小説『80日間世界一周』の小説に書かれた世界一周を実際に120年前の二人のアメリカの女性新聞記者が西回りと東回りで競って世界一周をした」という話です。

ジュール・ヴェルヌの小説

私が初めてジュール・ヴェルヌの名を知ったのは映画「バックトゥザ・フューチャー」でドクがジュール・ヴェルヌの小説に影響を受けたという話が出て来た時です。19世紀の1872年。イギリスの貴族フォッグが世界一周を80日でやり遂げる賭けをして、世界一周の旅に出るお話です。もちろんこの話そのものは架空の世界一周の話なのですが,この小説に書かれた世界一周が本当に80日でできるのかチャレンジする企画を上司に持ち込んだ記者が今回の主人公であるネリー・ブライという女性記者です。

私は読んでませんけど。

ライト兄弟により飛行機が発明されたのは20世紀になった1903年です。旅客機として客を乗せて飛ぶのはまだまだ先ですから、当時は蒸気機関車の鉄道か蒸気船の船です。タイタニックが1912年ですからその20年から30年前の話です。

二人の新聞記者

ジュール・ヴェルヌの「八十日間世界一周」出版からから16年後の1889年11月14日にアメリカの新聞社ワールドの女性記者ネリー・ブライがニューヨークを出発します。ワールド紙はその挑戦を大々的に新聞に掲載して注目を集めます。それを読んだライバル新聞社のコスモポリタン社が急いで対抗するためにエリザベス・ビスランドという女性記者を呼び,突然今から世界一周の旅に出ろと命じます。

ネリーが西東回りでニューヨークからイギリスに向けて船で出発し,エリザベスは西回りでアメリカ大陸を横断するための鉄道に乗ります。

2016.12.04 修正
ネリーとエリザベスの西と東が逆でした。失礼しました。訂正してお詫びいたします。

冒険の最初

ネリーは最初にイギリスへ到着して,そのままフランスへ。ジュール・ヴェルヌに会いに行きます。そこで「八十日間世界一周」の話をいろいろ取材してこれから始まる冒険に心躍らせたようです。対するエリザベスは最初に訪れたのが日本。横浜へ到着して東京まで足を伸ばしたみたいです。そこで徳川秀忠の霊廟を見て,その美しさに感動したとか。あまりにも感動して世界一周の旅が終わったあと22年後に再び日本へ来ているそうです。日本の良さは我らが松江で有名人の小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーンにもアメリカで話をしたそうです。小泉八雲はその話を聞いて心が揺れ動き,日本へ来ることに決めたそうです。

二人の旅の最初がそれぞれとても印象的です。旅の最初にそれぞれ素晴らしい体験をしたことが長い旅を成功させたことにつながったのかもしれません。

勝者

結局は最初に自分で企画したネリー・ブライが72日で世界一周を達成。アメリカのサンフランシスコまで来た時にロッキー山脈が大雪で鉄道が通れず,ワールド社が鉄道会社を3つくらい買収してロッキー山脈を迂回するルートで特別列車を走らせたらしいです。強力すぎるバックアップもあり,ネリーがレースに勝ちます。当時は今みたいに携帯とかない時代ですのでネリーは香港あたりに来るまでエリザベスというライバルと競い合っている状態で,その様子を本国のアメリカの多くの人が固唾を吞んで見守っているという状況を知らなかったそうです。途中でエリザベス優勢と聞いて負けず嫌いなネリーはレースの終盤を頑張って進んだということのようです。

対するエリザベスもコスモポリタン社がフランスから出る船に多額のお金を支払って鉄道で向かって来るエリザベスの到着まで出発しないように頼み込んだらしいのですが,鉄道が到着した時に何者かの妨害か,連絡がうまくできなかったためか,船はすでに出発してしまったと聞き,別ルートを探してイギリスの方まで移動してニューヨークへ戻ります。結果的にそこで時間をロスしてネリーより5日ほど遅れて76日くらいで世界一周を成し遂げました。ネリーが先に到着してアメリカが大騒ぎになったため,エリザベスの帰還についてはあまり相手にされなかったそうです。

その後

世界一周の旅が終わった後,二人とも旅行記を書いています。

書籍も手に入るようですが,現在は英語ですが上記サイトで公開されています。時間はかかると思いますが少しずつ読んでみようと思います。また,

このような書籍も出ています。Amazon.co.jp で購入してみました。二人の世界一周について詳しく書かれているようです。

私が興味を持ったのは

高校の時の得意科目が世界史だったのですが,苦手だった物理を大学で専攻しました。歴史はすごく好きで社会人になってからも結構歴史関係の本は読んだりしていたのですが,今回この話がすごく面白くて気に入ったのはこの歴史が面白かったからです。

普通,歴史というのは日本の歴史とかアメリカの歴史とかローマ帝国の興亡とか特定の国や地域に密着して勉強・研究されるものですが,今回みたいな世界一周の旅の話だと1889年の世界各国がどんな時代なのか横通して描かれていることがとても興味深かったのです。日本は明治維新後の文明開化の時代。西洋の文化を必死に取り込んでいる時代。インドのセイロン島にネリーが立ち寄って初めてカレーを食べる話がありますが,当時はイギリスは大英帝国でそこは大英帝国の植民地です。フランスのパリはエッフェル塔が出来た頃。歴史がパラレルで並走しているということがよくわかる題材だと思います。そこに若い女性記者が突撃して初めて訪れる国々を取材していくという話はとても楽しいです。

まだ二人の旅行記も Amazon に注文した本も読んでいないので,もっと二人の旅の深淵を垣間見ることができたらこの記事の続きを書きたいと思います。